新商品開発において大切なコト。
企画? 規格? デザイン? 素材?
もちろん全て大切デス。
でも、そのもっともっと下地に隠れている大切なこコト。
それが接着テストです。
んでは、接着テストとは?
うん、某瞬間接着剤のように、鉄板にバイクを貼り付けるとか、
ダブルデッカー・ロンドンバスの屋根をはがすとか、
そんなドラスティックなことではございません。
しかし、
生地の補強、着心地、風合いなど、商品自体の良し悪しを左右しかねない
とっても大事なことなんですよ。
生地を活かすも殺すも芯地次第と言っても華厳の滝、いや過言ではござぁません。
スーツなどには馬の尻尾を使った毛芯などが高級芯として有名ですが、
ベストやネクタイなど、アクセサリーなどにも意外と欠かせないものなんです。
取り寄せた生地が思ったより薄かったり、目的の商品で使うには風合いが物足りないなど、
接着芯で強度を補ったり、風合いを引き上げるために芯を貼るわけなんですね。
写真はベストの生地の接着テストの結果です。
今回は白い接着とグレーの接着をテストしました。
と、その前に大事なのが、この生地をどういうアイテムのどこの箇所に使うかによっても、
芯の種類すら変わりますから、
テスト機関に、「これで何を作って、どういう使い方をする」と事前に伝えておき、
テストに用いる芯をある程度絞っておくことも不可欠。
じゃないと、何種類もある芯のテストをしてたら途方もないですから。
今回のは、「ベストの身頃に使いますよ」がテストの条件です。
で、接着テストの結果は、まず双方の色合いを確かめます。
色の薄い生地などにグレーの芯を貼ると、色味が沈んだりする恐れもありますから。
そして、次に指で風合いを確かめます。
GMと僕とで、黙って触り、どっちがよかったか言い合います。
先に「こっちがいいよな?」なんて言うと、先入観で感想も左右してしまいますから。
でも、それが全てではなく、
「若い人向けなら、こっちか?」など世代による好みなども考えます。
そして、風合いや色味で大体の方向性が決まると、
データも確認します。
接着い用いた機械の品番や性能、温度や圧力の条件など
実に事細かに記されています。
すごいでしょう~。
(※モザイクには秘密のデータがたくさんなのでゴメンナサイ)
さらに、
カジュアル物に比べ、使用頻度の低いフォーマルアイテムと言えどクリーニングはつきもの。
いくらできたて製品の風合いが良くても、
1回のクリーニングでべローンとめくれるとか、シワの復元能力がないとかでは
話しになりませんから、
クリーニングテストでの風合いの変化、接着力の劣化具合などのテストも欠かせません!
そして実際にクリーニングテストをしたものも触り比べ、
風合いが落ちてないかなどの検証も大事なんですよ。
生地と一言で片付け、高級!カッコイイ!色がキレイ!なんてだけで
カンタンに選んでも、この接着テストでズタボロでは使いものになりません。
こうして、接着テストで納得の結果を得て、
晴れて正式に採用!となり、商品の規格仕様書に記される使用芯地も決まります。
これが商品価値や価格を決めるひとつの材料となるわけですから、
たかが芯地、されど芯地なのですね。
そして今日、新たに接着テストに出したのはシルクのアスコットタイ用の生地。
シルクの生地なので、風合いはとてもいいのですが、
生地がデリケートでキズがつきやすく、
ソフトなのでボリュームを増すためのテストです。
でも、テストで強度は増しても、シルクの風合いや色味を損なうようではNG。
モノづくりは本当に商品となったときに表面に現れないような
下地の基盤づくりが大事なんですよ~。