兼続るます!~直江兼続に学ぶ雇用論~

さこっち。

2009年02月09日 00:37

今宵も天地人の2回鑑賞を無事に成し遂げ一段落でございます。

家臣同士でいさかいを起こした兼続を従い、謙信に謝罪にいった景勝の

「家臣の不始末の負いを背負うのが
上に立つものの務めでございます」


という言葉が胸にささりました。

あぁ・・・景勝ステキ。


僕も明日からヘマしたら、こうやって守ってもらおうっと。


もとい。

親殺しや謀反、下克上が日常茶飯事だった戦国時代において、
生涯主従を崩さなかった景勝と兼続の関係にとても感銘を受け、
とても好きな2人です。


直江兼続の主君、上杉景勝は関ヶ原の戦いで西軍についたことにより、
会津120万石から米沢30万石に減封され、佐渡金山も失ったこともあり、
財政は大逼迫。

原因は違えども、今の日本の不況と似た状況です。


それでも家老の兼続は家臣の召し放ち(今でいうリストラ)を行わず、
6000人という家臣を召抱え続けたといいます。

その家臣団を維持するために、兼続は田畑の開発を進め、
幕府に対しての表向きの石高30万石に対して実情51万石まで成長させたといいます。

その後、さらなる減封で15万石程度まで落ち込みましたが、
明治維新頃のデータで加賀100万石の家臣団と遜色ない家臣団を
15万石程度の上杉家が抱えていたという事に、
兼続の教えが守られていたことが証明できるのでは・・・と思います。


兼続は、墾田で財政を立て直しただけではなく、
僕たち繊維業とも深く関わりを持っています。

まだ、木綿が高価で手に入りにくい時代、
カラムシと呼ばれる植物から取れる青苧(あおそ)という繊維を増産し、
織った布を京都へ輸出し、大成功をおさめたといいます。


高価で希少なものを無理に追うのではなく、
代替品となるものを生み出し、消費を促進して利益を出すという発想の転換は、
原材料高騰や不況で低迷する消費の中で苦戦する今の僕たちも
大いに学ぶところだと思います。

事実、今、工房で取り組んでいる新製品のサンプルづくりでは、
表地はもちろん、裏地、ボタンにいたるまで、品質を維持しつつ
コストを下げられるものの開拓に奔走していますから。


昨年の大河ドラマ「篤姫」では、家族愛が描かれ、
希薄になりつつある現代の家族関係に一石を投じ、多くの共感を得たと評されましたが、
今年の「天地人」では、激変する時代の中、上司と部下と一族を守った事が共感され、
現代の世相に反映されるように祈るばかりです。


未曾有の不況にあえぐ今ですが、
かつて、とある企業では創業者の経営理念として
「実力主義と家族主義を掲げ」社員を大切にされていました。


週休2日制をいち早く導入したり、GHQという運動も実行しました。
これは「ゴー・ホーム・クイック」ということで、
残業しないで早く家に帰って家族との時間を持とうという運動です。

家庭、家族ありきの仕事という考え方を軸とされていたので、
社員のクビを切り、一家を路頭に迷わせることをとても嫌ったそうです。


その後、後を継いだ息子さんにもその遺志は受け継がれましたが、
さらにその後、アメリカ流の利益第一主義、成果主義を持ち込んだ親族の経営者により、
創業者の家族主義のあったかい企業理念が崩壊されたという記事がありました。

現実、その企業がバッサバサと派遣社員を切り捨てる報道がされていますから・・・。


この他にもいち早く世界企業に成長した企業の創業者には
「解雇はせず!」「首切りは禁じ手」を理念とした経営者はたくさんいました。

「会社は利益を出すだけでなく、社員の雇用を確保し、生活を守らなければならない」

昭和に名を馳せた企業家たちはそういう帝王学を学んでいたといいます。


この記事を読む前、同じ言葉をGMから聞き、さらに続けられました。

「だから、オレもおこがましいがどこか経営者の考えで仕事をしている。
 けど、1人の人間でできる事なんてたかが知れとんねん。
 お前も同じ考えをどこかに持って、力を貸してくれ」

と。

真意が僕を鼓舞させる社交辞令であろうとも、
そう言われて、何も感じずにおれるものではありません。


僕は小学生の頃から戦国武将が好きで、色々な本を読みました。
革命児、寵児、魔王と称されたドラスティックな功績を残した
織田信長に長年、憧れを持っていました。

数年前、郵政民営化などで揺れた国政に必要なのは
織田信長のような人材であり、
時の首相をそれになぞらえるような表現、報道もありましたが、


それからさらに激変し、疲弊した日本で
今、まさに必要としているのは織田信長のような革命児なのか、
直江兼続のように君臣水魚を理念とした者なのか。


意見は分かれるところでしょうが、
僕は今となっては後者となりたいです。


そりゃあ、もちろん妻夫木くんのような甘いマスクにも憧れますがな・・・。

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