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2009年01月22日

タキシードクロスからコールまで。

縫製工房の一角にある生地ラック。

すごいでしょ、戦艦の大砲の弾倉みたいでしょ。
タキシードクロスからコールまで。
同じような黒い生地ばかりがならんでいるように見えますが、実は中身は様々。

夏物、通年用だけではなく、ウール100%のもの、カシミヤが入っているもの、
炭素繊維を入れ、静電気防止加工をしたもの、防虫加工、生活撥水加工など実に様々!


ディレクターズスーツモーニングコートに欠かせない、
コールパンツに使うコール生地だけでも、何種類もあります!

全く同じ柄なのに、生地の構成が全然違うものなどもあるから大変。


ココになにがどれだけあるのか、なるべく一週間に数回はザザーッと見るようにしています。


巻物でドカンとあるものは、一目である!とわかるのですが、
端切れになってたたんであるものは中々目に付かないこともあります。

ショップからの問い合わせで
「○○の生地ありますか?」と接客中に問い合わせが入ったりすると、
お客様を待たせてしまうことになりますので、
よく使う主だった生地の在庫は大体、つかんでおくようにするためです。


生地の在庫は毎月末に工房の方たちにとっていただきますが、
それも日々流動的。

2週間前に50mもあったから大丈夫だろうなんてタカをくくってると
無かったりすることも起こり得ます。

最悪、その生地が廃盤になっていることも・・・!
それがお客様がお帰りになった後に気付いたら、
再度ご来店いただく必要も出てきますから・・・。

そんな事を未然に防ぐために、
時々、生地を一通り見るようにしています。

生地を発注するのは僕だけとは限りませんから、
あれ?こないだなかった生地があるわ・・・と言うことも。


そんなときは混率(生地に何がどれだけ含まれているか)を見たり、
生地メーカーを確認したり、触って感触を確かめてみたり。

一言で「真っ黒の生地」を言うものの、
織り方や糸の密度、混率などで表情はホントに違います。

生地の表にカタカナの「ノ」の字のような綾ができるタッサーや、
ひし形のきれいな目が詰まったようなタキシードクロスでも、見え方は違いますし、

触ると、しっとり艶やかにヌメリ感があるものから、
ポリエステルなどが入ってるとガシガシしたりしますから、これも面白いです。

麻雀を題材にした漫画などで、
麻雀牌を目をつぶったまま指で触って、何か当てる
【盲牌(モウパイ)】なんてテクニックが出てきますが、
これを極めれば、触っただけで生地の組織構成を当てられる
【盲生地】が会得できそうです。


でも、簡単な判別ですが、
「結構ポリが多いなぁ」とか
「カシミヤが入ってるんかな」というぐらいはわかるようになりました。


そんな事をしてると、たまに
あれ!こんなとこに3mだけあるやん!
なんて生地が見つかれば儲けものですから。


というのは、
製作するサイズや生地の縦横の取り方、生地の幅によっても変わってきますが、
大体1.5m幅の生地が多いので、
その場合は通常のフォーマルスーツ一着に必要な生地の長さは3m未満。

この、
一着に必要な生地の長さを【要尺:ようじゃく】といいます。

3mあれば一着取れることが多いですから、
そういうものを記憶に留めておけば、
発注書に「棚のどこどこに何mありました」とか書くと、
無駄を出さず、生地をキレイに使っていけます。


在庫があるのに発注してしまうミスを防ぐだけでなく、
細かいものをできるだけ使い切ることは
コスト削減や廃材を出さないエコにもつながりますから。


で、
さきほど、大人用のフォーマルで3m弱と書きましたが、
これに縛られていると、時として落とし穴があります。

たとえば、子供用のスーツに使うキラキラした生地などは
フォーマル生地に比べて短い1m幅の生地などがあります。

1m幅の生地に型紙を乗せていくのと
1.5m幅の生地に乗せていくのではどうでしょう?

そう!狭い方が長く面積をとりますね。

そうなると、大人用で3mだから子供だと半分?なんてイメージをしてしまいがちですが、
1m幅の生地だと子供用の100cmのタキシードで2.5mほどの長さが必要になったりします。

それを確認せず、子供用なら○mで!なんて軽く言ってしまうとケガの元!

要尺を出すときは、常に「どれだけの幅の生地を使うのか」という事が大切なのですね。


極端に大きなサイズ、股下の長いパンツ、中にはスリーパンツをご希望されるお客様も。
そうなると、当然要尺も変わってきます。

そういうオーダーが入った際には、裁断の方に連絡して、
生地の上に型紙を並べてもらって、どれぐらいの長さが必要か概算してもらいます。

フォーマルを中心に縫製している当社の工房には、
当然フォーマル生地は豊富にありますが、
カノニコなどインポート生地を使うパターンオーダースーツになると、
そのお客様分の長さだけを発注する必要がありますから、
とても大事なことなんですね。

先日の【縮絨】のお話でも触れましたが、
織った時期が違うと、色味に差が出たりするので、
同じ巻きの生地でおさめなくてはいけません。

スリーパンツのスーツで1本だけパンツの色が違うなんておかしいですものね。

車で出かけるときにガソリンやオイルの残量をチェックするように
製作の前に生地の在庫をざっくり把握しておくのも大切なオシゴトです。



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