2009年01月14日
エウレカ!
このブログには、今のところ4つのカテゴリがあります。
それぞれにどんな事を書くのかは決めているのですが、それは追々。
今日は、はじめて書くカテゴリ「Eureka!」についてです。
このカテゴリでは、日々の中で「あっ!」と思った事を綴っていこうと思います。
「Eureka」は古代ギリシア語で「見つけた!」という意味で、
エウレカと読むほか、ユーレカ、ユリイカなどと表記される事があります。
元々この言葉は、アルキメデスがアルキメデスの原理を発見したときに
叫んだ言葉だといわれています。
アルキメデスの原理とは・・・学校で習いましたよね~
「水中の物体は、その物体がおしのけた水の重量だけ軽くなる」という浮力の原理デス。
日本では、脳科学者の茂木健一郎さんが、
閃きや気づきの瞬間に「あっ!」と感じる体験を「アハ体験」として紹介していますが、
あっ!アハ!と感じた、わずか0.1秒の間に脳内の神経細胞が一斉に活性化するんだそうです。
この、わかった!という体験が、頭をよくするとも。
僕は仕事に関わらず、「あ!」「ひらめいた!」というとき、
頭の中で「エウレカ!」と叫ぶようにしています。
自分自身が「あ!わかった!」と思うことを「わかった」で済ませるのではなく、
Eureka!という言葉を発してインプットすることで、
忘れずに蓄積されていくような気がするんですよね(笑)
実際に、仕事であったEureka!は、たとえばこんな事。
少し前に、南青山店の川島くんから、こんな発注書が届きました。
お客様のリクエストで
↓この「襟付きグレーベストのA7体を細身に仕上げて欲しい」という内容です。

僕はしばし、発注書と向き合いました。
サイズスペックと、発注書内容を見比べていると、
「A7体のベストのウエストをこんなに詰めたら、バランスがおかしくなるんちゃうかなぁ?」
そう感じました。
襟の大きさも、体型に応じて違いますから、
細くしすぎると、やけに襟が大きく見えるんじゃないか、
などちょっと心配な点もあったのです。
そこで、僕の親方であるGM(ゼネラルマネージャー)に相談したところ、
即断即決で、こんなアドバイスをくれました。
「そしたら、A5の着丈を長くしたらどうや?」
「A5の着丈を長く・・・あぁっ!すげぇ!」
まさに「Eureka!」の瞬間でした。
そう、発注書とサイズスペックを見比べると、
お客様が望まれている胴回りのサイズは、まさにA5体そのもの!
つまり、【A7体を小さくして、全体のバランスを整える】よりも
【A5体の着丈を長くする】という工程の方がカンタンで作業量も難易度も違います。
しかもA5体は元々、そのままのサイズで襟などのバランスが取れているわけですから、
着丈を長くするだけの方が調整も楽!
さすが師匠!
心の中で「エウレカ~!」叫んでインプット。
これで、僕の中にも、「大きなサイズを細くするのなら、小さい方を大きくしてみては?」という
引き出しが生まれました。
「引いてダメなら押してみな」ですよね。
後日、それはこんなオーダーにも活かされます。
「Aというノッチ襟の2つボタンのスーツを製作したいが、該当のサイズがなく、
Bというピーク襟の1つボタンのスーツを着用して計測した」という発注書です。
BとAはシルエットが違うため、計測したBのスーツがぴったりという事は、
Aの同じサイズを作るだけでは、お客様に合わない可能性があります。
しかも、襟のカタチも変えなければいけませんし、ボタンの数を増やす必要があります。
う~ん・・・そうなると、フロントディテールの大工事!
これはヘタをすると、型紙を引きなおさなくてはいけません。
型紙の引きなおしをするとなると、要する日数は2~3日。
それはとても大きなロスになります。
どうすれば早く製作できるか・・・と考えながら、Bのスーツの規格書を眺めていると
降りてきました
「エウレカ!」
気付いたのが、生地も違う廃盤になったCというスーツの存在です。
Cはノッチ襟の2つボタンスーツですが、Bのピーク襟1つボタンと仕上がり寸法が同じ!
しかも作りたいAのスーツと内側の仕様も同じ!
もちろん、廃盤のデザインでも型紙は残っています。
それを踏まえると、さきほどのオーダーは次のとおりとなります。
ビフォーの発注書:「Bの生地と内仕様をAに替え、襟をノッチにして、1つボタンを2ボタンにする」
アフターの発注書:「Cの生地をAに替える」
工程は違いますが出来上がるものは一緒!
しかも型紙を作り直すこともなく、表地を変更するだけでお客様のご注文商品を作ることができます。
これで2~3日の工期短縮と職人さんの負担を軽くできるんですよね。
一種のパズルみたいなもので、どうすれば正解にいちばん早くカンタンに到着できるか。
その道筋を明確に決めて、「こうして下さい」と発注書を起こすのも僕の仕事。
GMは僕に言います。
「発注書を回すのは誰でもできる。それでは仕事じゃない。
あれ作れ、これ作れというのは、こっちの勝手や。
どうしたら相手が仕事をしやすいか、簡単に手間をかけずにできるか、
相手の事をそこまで考えて発注書を書いてこそ、仕事やぞ」
長年、培った経験と知識があるからこそ出る「深イイ言葉」です。
懐が深いです。
僕もそうですが、職人さんはお客様の来店された様子を知る由がありません。
実際にお客様に接したスタッフから、詳細な内容を聞き、要望と意図を汲み取り、
どうすれば、難しい内容をわかりやすく職人さんに伝え、
お客様のイメージ通りの商品を作ることができるか・・・。
まだまだ丁稚くんの僕は、
「根回し」も「思いやり」も「気配り」も親方の足元にも及びませんが、日々是勉強です。
明日も僕は「エウレカ!」を求めて。
え?なぜ、「アハ!」でも「ひらめいた」でもなく、「エウレカ」なのかって?
それは、僕が三度の飯より「交響詩篇エウレカセブン」の主人公エウレカが大好きだからですよ!
2009年のGWに劇場版公開が決まって、ヤホー!ですよ!
それぞれにどんな事を書くのかは決めているのですが、それは追々。
今日は、はじめて書くカテゴリ「Eureka!」についてです。
このカテゴリでは、日々の中で「あっ!」と思った事を綴っていこうと思います。
「Eureka」は古代ギリシア語で「見つけた!」という意味で、
エウレカと読むほか、ユーレカ、ユリイカなどと表記される事があります。
元々この言葉は、アルキメデスがアルキメデスの原理を発見したときに
叫んだ言葉だといわれています。
アルキメデスの原理とは・・・学校で習いましたよね~
「水中の物体は、その物体がおしのけた水の重量だけ軽くなる」という浮力の原理デス。
日本では、脳科学者の茂木健一郎さんが、
閃きや気づきの瞬間に「あっ!」と感じる体験を「アハ体験」として紹介していますが、
あっ!アハ!と感じた、わずか0.1秒の間に脳内の神経細胞が一斉に活性化するんだそうです。
この、わかった!という体験が、頭をよくするとも。
僕は仕事に関わらず、「あ!」「ひらめいた!」というとき、
頭の中で「エウレカ!」と叫ぶようにしています。
自分自身が「あ!わかった!」と思うことを「わかった」で済ませるのではなく、
Eureka!という言葉を発してインプットすることで、
忘れずに蓄積されていくような気がするんですよね(笑)
実際に、仕事であったEureka!は、たとえばこんな事。
少し前に、南青山店の川島くんから、こんな発注書が届きました。
お客様のリクエストで
↓この「襟付きグレーベストのA7体を細身に仕上げて欲しい」という内容です。

僕はしばし、発注書と向き合いました。
サイズスペックと、発注書内容を見比べていると、
「A7体のベストのウエストをこんなに詰めたら、バランスがおかしくなるんちゃうかなぁ?」
そう感じました。
襟の大きさも、体型に応じて違いますから、
細くしすぎると、やけに襟が大きく見えるんじゃないか、
などちょっと心配な点もあったのです。
そこで、僕の親方であるGM(ゼネラルマネージャー)に相談したところ、
即断即決で、こんなアドバイスをくれました。
「そしたら、A5の着丈を長くしたらどうや?」
「A5の着丈を長く・・・あぁっ!すげぇ!」
まさに「Eureka!」の瞬間でした。
そう、発注書とサイズスペックを見比べると、
お客様が望まれている胴回りのサイズは、まさにA5体そのもの!
つまり、【A7体を小さくして、全体のバランスを整える】よりも
【A5体の着丈を長くする】という工程の方がカンタンで作業量も難易度も違います。
しかもA5体は元々、そのままのサイズで襟などのバランスが取れているわけですから、
着丈を長くするだけの方が調整も楽!
さすが師匠!
心の中で「エウレカ~!」叫んでインプット。
これで、僕の中にも、「大きなサイズを細くするのなら、小さい方を大きくしてみては?」という
引き出しが生まれました。
「引いてダメなら押してみな」ですよね。
後日、それはこんなオーダーにも活かされます。
「Aというノッチ襟の2つボタンのスーツを製作したいが、該当のサイズがなく、
Bというピーク襟の1つボタンのスーツを着用して計測した」という発注書です。
BとAはシルエットが違うため、計測したBのスーツがぴったりという事は、
Aの同じサイズを作るだけでは、お客様に合わない可能性があります。
しかも、襟のカタチも変えなければいけませんし、ボタンの数を増やす必要があります。
う~ん・・・そうなると、フロントディテールの大工事!
これはヘタをすると、型紙を引きなおさなくてはいけません。
型紙の引きなおしをするとなると、要する日数は2~3日。
それはとても大きなロスになります。
どうすれば早く製作できるか・・・と考えながら、Bのスーツの規格書を眺めていると
降りてきました
「エウレカ!」
気付いたのが、生地も違う廃盤になったCというスーツの存在です。
Cはノッチ襟の2つボタンスーツですが、Bのピーク襟1つボタンと仕上がり寸法が同じ!
しかも作りたいAのスーツと内側の仕様も同じ!
もちろん、廃盤のデザインでも型紙は残っています。
それを踏まえると、さきほどのオーダーは次のとおりとなります。
ビフォーの発注書:「Bの生地と内仕様をAに替え、襟をノッチにして、1つボタンを2ボタンにする」
アフターの発注書:「Cの生地をAに替える」
工程は違いますが出来上がるものは一緒!
しかも型紙を作り直すこともなく、表地を変更するだけでお客様のご注文商品を作ることができます。
これで2~3日の工期短縮と職人さんの負担を軽くできるんですよね。
一種のパズルみたいなもので、どうすれば正解にいちばん早くカンタンに到着できるか。
その道筋を明確に決めて、「こうして下さい」と発注書を起こすのも僕の仕事。
GMは僕に言います。
「発注書を回すのは誰でもできる。それでは仕事じゃない。
あれ作れ、これ作れというのは、こっちの勝手や。
どうしたら相手が仕事をしやすいか、簡単に手間をかけずにできるか、
相手の事をそこまで考えて発注書を書いてこそ、仕事やぞ」
長年、培った経験と知識があるからこそ出る「深イイ言葉」です。
懐が深いです。
僕もそうですが、職人さんはお客様の来店された様子を知る由がありません。
実際にお客様に接したスタッフから、詳細な内容を聞き、要望と意図を汲み取り、
どうすれば、難しい内容をわかりやすく職人さんに伝え、
お客様のイメージ通りの商品を作ることができるか・・・。
まだまだ丁稚くんの僕は、
「根回し」も「思いやり」も「気配り」も親方の足元にも及びませんが、日々是勉強です。
明日も僕は「エウレカ!」を求めて。
え?なぜ、「アハ!」でも「ひらめいた」でもなく、「エウレカ」なのかって?
それは、僕が三度の飯より「交響詩篇エウレカセブン」の主人公エウレカが大好きだからですよ!
2009年のGWに劇場版公開が決まって、ヤホー!ですよ!
Posted by さこっち。 at 00:19│Comments(0)
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